体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
新型コロナウイルスの影響で、リーマンショック時以来の非常事態になっています。一日も早い終息を心から願うばかりです。
ところで、2008年のリーマンショック時、私はベルメゾン生活スタイル研究所の主任研究員として、女性生活者を対象にした定量調査や定性調査を通じて、彼女たちの意識や価値観の変化を調査・研究していました。
その中でみえてきたのは、景気低迷をネガティブに捉えるのではなく、むしろ情報収集力や判断力、行動力を発揮しながらポジティブに節約や生活改善に取り組んでいる女性の姿でした。
そして、様々な調査・研究から3つのシコウの変化が明らかになりました。
まずひとつ目が、目先の損得よりも中長期的なおトクを考えて生活する「ロングレンジ思考」です。具体的には、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストも重視して購入する。少し高くても、健康や安全のことを考えて購入する。自分たちの子孫のために、環境にやさしいサービスを購入する。品質が良くて、長く使えるものを購入する。という行動変化です。
そして二つ目が、単に消費するだけでなく自ら何かを生み出していく「生産者志向」です。
具体的には、自分で育てたり、手作りしたりといった創造的生活を楽しむ。インターネットやコミュニティに参加して少しでも報酬を得る。ポイントをどんどん増やすノウハウを取得、実践する。部品を組み立てたり、ちょっとしたDIYに挑戦する。といった行動変化です。
最後の三つ目は、足し算の暮らし方から引き算の暮らし方へという「シンプル嗜好」です。
具体的には、部屋の中にはあまりモノを置かず、すっきり暮らす。不要なものは溜め込まず、自ら売買して処分する。無料や低料金で借りられるものをできるだけ利用する。早寝早起き、自然のリズムに合わせて暮らす。といった行動変化です。
その後2011年には東日本大震災が起こり、新たに「つながり指向」が加わりました。
これらの、「ロングレンジ思考」「生産者志向」「シンプル嗜好」「つながり指向」は、10年後の現在でも、女性生活者の価値観となって根付いており、様々な消費行動に影響を及ぼしています。
現在私たちの生活に重くのしかかっている新型コロナウィルス問題も、グローバル化の今後、国の在り方、企業経営の在り方はもちろん、私たちの働き方の在り方、健康で安全・安心して暮らせるライフスタイルの見直しなど、様々な課題が突きつけられています。
だからこそ、「Change=変化」を「Chance=好機」ととらえ、「Challenge=挑戦」していくことが重要ではないかと思います。世界的に非常事態ではありますが、3つの「C」で地球の未来を拓いていきましょう。