体験消費時代のマーケティングヒント
みなさんこんにちは。和田康彦です。
ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は2月1日、宮崎県で百貨店などを運営する橘ホールディングス(HD、宮崎市)を同日付で買収したことを明らかにしました。
PPIHの2019年6月期の売上高は1兆3288億7400万円。2019年1月に、ユニー(株)及びその子会社が連結子会社となったことで、前年同期比41.1%増と、大きく伸長。営業利益は631億1000万円(22.4%増)、経常利益682億4000万円(19.3%増)、純利益482億5300万円(32.5%増)。同グループは2020年を達成年度とした「ビジョン2020:売上高1兆円、店舗数500店、ROE(株主資本利益率)15%」を目標としていますが、すべての項目を前倒しで達成と、この小売不況の中にあって絶好調を維持しています。
ドン・キホーテに行ったことのある方なら誰もが、あの宝探しをするようなワクワク・ドキドキするを時間を体験していると思います。雑然とした店内は、どこに何が置いてあるのかわかりにくい。手を伸ばしても届かないような棚の上にまで陳列されていたり、足元の段ボール箱にはお買い得品が山盛りになっていたり、手書きのPOPがあらゆるところに貼られていたりと、マーケティングのセオリーからすると、とんでもない雑然とした売り場になっています。
米国の年経済研究家のジェイン・ジェイコブズ氏は、整然と区画整理されてどこに何があるのかわかるような街は魅力がない。狭い曲がりくねった道で、その先にどんな店が見えてくるのか予想できないような街こそ魅力がある。曲がりくねった路地の先に何があるのか、歩くだけで楽しい気分になる。と魅力ある街について論じています。
店づくりにも同じことが言えそうですね。まさにドン・キホーテは、雑然とした通路の先に何があるのか、ワクワク・ドキドキしながら買物できることが大きな魅力です。いつ行っても、何か掘り出し物に出会えるのではないかという期待感に心が動きます。
女性は、買いやすさや価格、丁寧なサービス、品質に対する安心感など色々なことに期待して消費しますが、変化のない店には心は動きません。新商品の打ち出しや季節ごとの提案、売り場づくりのリニューアルなど、ワクワク・ドキドキさせる変化を感じてもらいましょう。